研究チームが人工知能(AI)と高エネルギーX線イメージングを用い、約2000年もの間封印されていた炭化したローマ時代の巻物を解読した [1]。
この画期的な成果により、歴史学者は脆弱な文書に物理的に触れることなく、古代の知識にアクセスすることが可能となった。これらのパピルスは激しく炭化しており、手で開こうとすれば崩れてしまうため、この「仮想的な展開(virtual unwrapping)」こそが、失われたテキストを復元する唯一の方法となる。
これらの巻物はイタリアのヘルクラネウムで発見された。西暦79年のヴェスヴィオ火山の噴火により埋没したものである [1, 2]。数百年にわたり、これらの文書は炭化した塊として存在しており、従来の方法で展開しようとすれば粉々に砕け散る状態であった。
これを克服するため、チームはAI駆動の技術を用いてX線スキャンを分析した。AIが炭化したパピルスの層にあるインクのわずかなパターンを識別し、テキストのデジタルマップを作成することで、古代のストア派哲学に関連する記述を明らかにした [3]。
この手法は、内部の情報を抽出すると同時に、遺物の物理的な完全性を維持することができる。高エネルギーイメージングを使用することで、素材に機械的な損傷を与えることなく、巻物の層を透過して見ることができるためだ [2, 3]。
この技術は、考古学におけるアプローチを物理的な発掘からデジタル再構築へと転換させるものである。これらの巻物を解読できるようになったことで、ヘルクラネウムの惨劇以前のローマ帝国の知的生活を垣間見ることができる貴重な機会が得られた。
“AI駆動の「仮想的な展開」により、炭化したローマ時代の巻物の中にあった、これまで解読不能だったテキストが明らかになった。”
炭化したパピルスへのAI適用は、「脆弱な遺物の保存」か「内容へのアクセス」かという、考古学における長年のジレンマを解決する。読解プロセスをデジタル化することで、研究者はこれまで永久に失われたと考えられていた古典世界の文学を復元できるようになり、古代哲学の既知の歴史が書き換えられる可能性がある。


