欧州連合(EU)のエネルギー政策立案者および市場運営者は、グリーンエネルギーへの移行における最大の障壁は、電力不足ではなく蓄電容量の不足であると述べている [1]。
この蓄電能力のギャップにより、欧州地域は豊富にある太陽光および風力発電を十分に活用できていない。断続的に発生するエネルギーを蓄える能力がなければ、グリッド(送電網)の安定性を維持できず、必要な柔軟性を確保するために化石燃料発電所への依存を続けざるを得ない状況にある [1, 3]。
発電量と蓄電量の不一致は、市場状況の不安定化を招いている。2024年から2025年にかけて報告されたマイナス価格の期間中、欧州の複数の市場で電気料金がゼロを下回った [4]。こうした現象は、再生可能エネルギーの出力が需要を上回り、かつグリッドに余剰電力を後で利用するために保存する容量がない場合に発生する [3]。
これらの脆弱性に対処するため、欧州はインフラの拡張を進めている。ユーティリティスケールの蓄電パイプラインは現在130 GWを超えている [2]。この拡張には、欧州大陸全域で現在開発中の3,000件以上のユーティリティスケール蓄電プロジェクトが含まれている [2]。
一部のアナリストは、より広範な問題として「移行が不完全であること」を指摘している。この視点によれば、欧州地域は再生可能エネルギーの発電に多額の投資を行った一方で、それを支えるために必要なグリッドやシステムの柔軟性を同時に構築しなかったとされる [5]。グリーン電力の発電量は増加したが、その電力を管理するためのインフラが追いついていない。
市場運営者は、太陽光発電の過剰供給があるため、この新しい段階への移行は困難であると述べている [3]。目標は、単にクリーンエネルギーを生成するシステムから、効率的に蓄電・配電できるシステムへと移行し、炭素排出量の多いバックアップ発電所の必要性をなくすことである [1, 2]。
“欧州の豊富な太陽光および風力発電を十分に活用する上での主な障壁は、蓄電容量の不足である。”
欧州における再生可能エネルギーへの移行は、発電量がインフラ能力を上回るという重大な転換点に達している。マイナス価格の出現は、グリッドが蓄電不可能な供給量に圧倒されていることを示唆している。つまり、バッテリーおよびグリッドスケールの蓄電能力が風力・太陽光発電所の規模に見合うまで、EUはエネルギー安全保障を化石燃料から完全に切り離すことはできない。




