エルニーニョ現象の再来により農業生産への脅威が高まる中、インドは政府による穀物備蓄量を過去最高水準まで引き上げた [1]。
これらの備蓄は、気候変動による作物の変動期において、インド政府が国内の食料価格を管理し、輸出の柔軟性を確保するための重要な緩衝材となる。エルニーニョはしばしば干ばつや収穫量の減少を招くため、これらの備蓄は食料不足や価格急騰を防ぐことを目的としている [1, 2]。
2024年6月初旬のデータによると、政府保有の米備蓄量は新高値に達した [3]。米の在庫は前年比で15%増加し [1]、政府保有の総量は6,843万トンとなった [2]。
小麦の在庫も大幅に増加し、5年ぶりのピークに達している [3]。現在の政府保有小麦備蓄量は、合計5,341万トンである [2]。
これらの量を確保することで、政策立案者は国家の食料安全保障の強化を目指している。この戦略により、エルニーニョの再来で季節的な収穫量が急減した場合に政府が市場に介入することが可能となり、最も脆弱な層をインフレから保護することができる。
農業専門家は、この備蓄のタイミングが極めて重要であると指摘する。エルニーニョの再来は通常、インド亜大陸全体の作物生産の主因となるモンスーンのパターンを乱す [2]。米と小麦の記録的な備蓄を確保しておくことで、不作の年に緊急輸入に依存するリスクを軽減できる [1]。
“米在庫は前年比15%増の過去最高水準に”
インドが記録的な量の穀物を備蓄することを決定したのは、気候変動に強い食料安全保障への戦略的転換を反映している。エルニーニョの到来前に備蓄を最大化することで、政府は気候起因の作物不作に伴う世界的な価格変動から国内市場を隔離しようとしている。この体制を整えることで、ニューデリー(インド政府)は、国内の不足を招くリスクを負わずに、輸出禁止措置を維持するか、あるいは国際市場を安定させるために貿易を再開するかを決定する上で、大きな主導権を持つことになる。



