日本において、食道がん治療を目的とした世界初のウイルス製剤「テロメライシン」の製造販売が承認された [1, 2]。
今回の承認は、侵襲的な手術や長期の休職を必要とせずにがん細胞を標的とする治療法を提供することで、腫瘍学における大きな転換点となる。悪性細胞を選択的に破壊することにより、治療が困難とされるがんの一つである食道がん患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上を目指している [1, 5]。
岡山大学発のベンチャー企業であるOncolys BioPharmaが開発したこの薬剤は、遺伝子組み換えを施した風邪のウイルスを利用している [1, 4]。この改変ウイルスは、正常な細胞には影響を与えず、がん細胞内でのみ複製するように設計されている [1]。
36人の患者を対象とした臨床試験では、有望な結果が示された [1]。データによると、治療から18か月後に、グループのちょうど50%にあたる18人の患者でがんが消失した [1]。
同剤は2026年5月21日、厚生労働省の専門家パネルによって承認された [2, 4]。Oncolys BioPharmaは2026年6月8日にこの承認取得を発表した [4]。
Oncolys BioPharmaの浦田泰夫社長は、「風邪のウイルスを遺伝子組み換えし、がん細胞の中だけで増殖させ、正常な細胞には何もしないという、『以毒制毒』の治療技術である」と述べた [1]。
浦田社長は、がん治療のために手術を受けたり、仕事を休んだりする必要のない社会に貢献したいとしている [1]。
同社はこの夏に販売を開始する計画だが [4]、年内の製品上市というより広範な目標を掲げているとの報告もある [2]。
“日本において、食道がん治療を目的とした世界初のウイルス製剤「テロメライシン」の製造販売が承認された。”
テロメライシンの承認は、ウイルスを腫瘍を死滅させるための精密ツールとして再利用する「腫瘍溶解性ウイルス療法」への移行を意味している。もし実臨床での有効性が、小規模な臨床試験で見られた50%という消失率に匹敵するのであれば、従来の全身性化学療法や侵襲的な手術よりも、患者の移動性や就労継続を優先する食道がん治療の新たな標準となる可能性がある。





