多様な業種の日本企業が、安定的な調達を確保し、サプライチェーンのリスクを軽減するために米生産への参入を始めている [1]

この動きは、「令和の米騒動」として知られる不安定な時期を経て加速した。米の不足と価格変動が、外食産業や消費財メーカーの運営安定性を脅かしたためである [1, 2]。生産プロセスを自社で管理することで、これらの企業は変動の激しい外部市場への依存をなくすことを目指している。

大手外食チェーンのワタミは、千葉県の農家と提携し、2024年5月頃から栽培を開始した [1, 3]。同社は次年度に約600トンの米を生産する目標を掲げており、これは全需要の約半分に相当する [1]

ワタミファームの萩野拓馬社長は、「最大の懸念は、米がないことだった」と述べた [1]。萩野氏は、自社で使用する分を自前で栽培することで、安定した調達体制を構築したい考えだ [1]

同様に、生活用品メーカーのアイリスオーヤマも、2024年5月12日に宮城県丸森町で米の栽培を開始した [1, 3]。同社はまず22ヘクタールを割り当て、自社のパックごはん製品向けに特化した米を生産している [3]。アイリスオーヤマは、長期的には栽培面積を1,000ヘクタールまで拡大する目標を掲げている [3]

こうした企業の参入は、個々の企業には安定をもたらす一方で、市場関係者からは価格暴落への懸念も上がっている。一部の報告では、米価格が前年より約1,000円下落した後、安定し始めたことが指摘されている [1]

スーパーセルシオ和田店長の久保田氏は、価格が昨年から約1,000円下落し、今年に入ってから徐々に落ち着いてきたと語った [1]

「最大の懸念は、米がないことだった」

非農業企業による垂直統合への動きは、日本の食料安全保障に対する戦略的な転換を示唆している。ワタミやアイリスオーヤマのような企業が「買い手」から「生産者」へと移行することは、主食を単なる商品ではなく重要なインフラとして捉えていることを意味し、近年の供給混乱を招いた気候変動や市場ショックから自社を保護しようとする狙いがある。