レオ14世教皇は、人工知能(AI)に関する新たな回勅『Magnifica Humanitas』の中で、J.R.R.トールキンの『指輪物語』を引用した [1]。
この動きは、AIを巡る議論を道徳的な視点から枠付けしようとするバチカンの戦略的な取り組みであり、人間の主体性と技術開発における倫理の必要性を強調することで、トランスヒューマニズムの思想に対抗する狙いがある。
2026年5月25日 [2]、バチカン共同会議のAula Nuovaで発表された110ページに及ぶこの文書は、信仰と新興技術の交差点を考察している [2]。また、同回勅では『Rerum Novarum(新事態)』の発表135周年についても言及している [2]。
本文の中で教皇は、「Nadie nos puede negar hacer el bien día a día(日々善をなすことを、誰も我々から奪うことはできない)」という一節を引用した [3]。この引用は、AIが人間の美徳に取って代わるものではなく、あくまで人間への奉仕のためのツールであり続けるべきであることを強調するためのものである。
フェルナンド・チョマリ枢機卿は、最近のインタビューでこの文学作品を選んだ背景についてさらに詳しく説明した。同枢機卿は、『指輪物語』は、技術の力に直面した際に求められる道徳的責任を世界に思い出させるものであると述べた [1]。
報告書によれば、教皇がトールキンの物語を用いたのは、抑制のない権力の危険性と、圧倒的なシステムの変化に直面した際の、日々の小さな善行の重要性を浮き彫りにするためだという。この回勅は、社会のデジタル変革によって、人間が本来持つ尊厳が消し去られないようにすることを目的としている。
一部の報道では、回勅の発行日は2026年5月27日とされているが [4]、他の記録では、正式な発表はその2日前に行われたことが示されている [2]。
“「Nadie nos puede negar hacer el bien día a día.(日々善をなすことを、誰も我々から奪うことはできない)」”
トールキンという世界的に認知された文化的指標を利用することで、バチカンはAIに関する複雑な神学的・倫理的な懸念を、普遍的な言語に翻訳しようとしている。このアプローチは、教会がAIのリスクを単なる技術的な不具合や経済的な脅威としてではなく、「テクノ・オリガルヒ(技術寡頭制)」に対する、人間の自律性と道徳的誠実さを懸けた根本的な闘争として捉えていることを示唆している。



