科学者のアンナ=ベラ・ファイユックス氏は、蚊媒介性疾患が世界中で公衆衛生に対する拡大する脅威となっていると述べた [1]

この変化が深刻なのは、気候に関連する変動により、これまで生存できなかった地域でもこれらの昆虫が繁殖可能になっているためである [4]。蚊が新たな領域へと移動することで、過去に曝露経験がなく免疫を持たない人々に対し、衰弱させる疾患のリスクをもたらしている。

蚊媒介性疾患を専門とするファイユックス氏は、自身の故郷であるタヒチでの経験を基に研究を行っている [1]。同地域では、歴史的に蚊が象皮病(四肢に深刻な腫れが生じる疾患)を引き起こしていた [1]。研究によると、かつてタヒチの成人の約3分の1が、蚊による刺咬で四肢の腫れに苦しんでいたという [1]

この脅威は熱帯気候に限定されない。研究者たちは現在、スコットランドのような予想外の場所への蚊媒介性ウイルスの到達について調査している [4]。具体的には、ウスツウイルスを媒介するアカイエカ(Culex pipiens)は、25 °C前後の温度で活発に活動する [4]

地球全体の気温が上昇するにつれ、これらの昆虫が繁殖しウイルスを伝播させるために必要な環境条件が、温帯地域でも一般的になりつつある [4]。ファイユックス氏は、これらの媒介者がどのように新しい環境に適応し、その結果として世界の保健インフラにどのような影響を与えるかについて、引き続き研究していると述べた [1]

かつてタヒチの成人の約3分の1が、蚊による象皮病で四肢の腫れを患っていた。

蚊の生息域の拡大は、世界の疫学的な転換を意味している。象皮病やウスツウイルスのような疾患が非流行地域に流入すると、熱帯病の診断や治療に慣れていない医療体制に突然の負荷がかかることになる。この傾向は、気候の変動性と、これまで安全だった地域での公衆衛生危機の発生との関連性を浮き彫りにしている。