研究者らは、粘菌の一種であるモジホコナミメ(Physarum polycephalum)が、体内の流体フローを制御することで意思決定を行い、ナビゲートして餌を探し出すことを発見した [1]。
この発見は、脳や神経構造がなくとも複雑な問題解決が可能であることを証明しており、知能に関する従来の理解に挑戦するものとなる [1, 2]。
フランス国立科学研究センター(CNRS)のAudrey Dussutour氏らを含む科学者チームが、実験室環境でこの研究を実施した [1, 3]。研究によると、これらの単細胞生物は体内の流体の動きを操作することで、迷路を解き、餌の供給源を特定できるという [1, 2]。このメカニズムにより、過去に餌があった場所を記憶するといった、認知機能に似た行動を示すことが可能になる [1, 2]。
情報を処理し行動に適応させる能力自体は、この分野において新しい観察結果ではない。粘菌が意思決定を行うという最初の発見は16年前に報告されている [4]。しかし、今回の研究は、神経系が存在しない状況でこれらのプロセスがどのように行われるかという機械的な説明を提示した [1, 2]。
物理学者と生物学者は、粘菌の流体力学を研究することで、生物学的計算の基本原理を解明することを目指している [1, 5]。この研究は、この生物が内部フローを環境を感知し、栄養分への経路を最適化するための手段として利用していることを示唆している [1, 2]。この生物学的システムは分散型ネットワークとして機能しており、構造的な物理的変化を通じて、目標への最も効率的なルートを実質的に計算している [1, 3]。
こうした知見は、他の単純な生物が不確実な環境でどのように生存しているかという、より広範な研究に寄与する可能性がある [5]。本研究は、ニューロンの電気信号ではなく、物理化学に依存した適応行動の一形態を浮き彫りにした [1, 2]。
“粘菌は体内の流体フローを制御することで意思決定を行う。”
この研究は、「知能」や意思決定が神経系を持つ生物だけのものではないことを示唆している。流体力学を計算のメカニズムとして特定したことで、科学者は、中央プロセッサなしで空間的な問題を解決する分散型AIや、バイオインスパイアード・ネットワークを設計する新たな手法を見出す可能性がある。





