Tyrannosaurus rex(ティラノサウルス・レックス)のコラーゲン由来のバイオ複合素材で作られたハンドバッグが、2024年6月11日にパリで競売にかけられる [1, 7]。

このプロジェクトはバイオテクノロジーとハイファッションの融合を象徴しており、古代の有機物がどのようにして高級品に転用され得るかを示している。先史時代のタンパク質に基づいたラボ培養素材を活用することで、制作者側はバイオテック・ファッションの可能性を世界に提示することを目指している。

科学者たちはポーランドのファッションブランド「Enfin Levé」と協力してこの素材を開発した [1]。このバッグは、T. rexの大腿骨から抽出されたコラーゲンの痕跡から作られたバイオ複合素材を用いて制作されている [1]。一部の報告では素材を6600万年前としているが [2]、別の情報源では大腿骨は6700万年前のものだとしている [1]

競売はフランス・パリのホテル会場で行われる [1, 4]。この珍品に対する予想落札価格は報告によって異なる。AFP通信は30万ユーロから50万ユーロの間になると伝えている [3]。また、最終的な価格は最大で80万ドル [5] または60万ドル [6] に達する可能性があるという報告もある。

このバイオ複合素材というアプローチにより、ブランドは完全な状態で発見することが不可能な先史時代の皮を必要とせず、レザーを模した製品を制作することが可能となった。その結果、高級品コレクターやジュラ紀のファンを惹きつける「身にまとう科学」とも言える作品が誕生した [1, 8]。

その斬新さの一方で、素材の真正性については一部で精査が行われている。一部の批評家は、T. rexのDNAを用いて皮を培養したとされるプロセスに疑問を呈しているが [11]、主要開発者は、検証済みの大腿骨から得られたコラーゲンの痕跡を使用したと述べている [1]

T. rexのコラーゲン由来のバイオ複合素材で作られた、世界初のハンドバッグ。

今回の競売は、合成生物学を用いて従来は調達不可能だった素材を作り出す「バイオ・クチュール」という成長トレンドを浮き彫りにしている。T. rexのバッグ自体は話題性の高い一点物だが、コラーゲンベースのバイオ複合素材という基盤技術は、将来的にはファッション業界全体において、従来の動物皮革に代わる持続可能なラボ培養代替品の実現につながる可能性がある。