国連は6月8日 [2]、世界中の海洋で深刻化する危機に対処するため、緊急の世界的行動を求める報告書を公開した。

この警告は、地球上の生物多様性を支え、気候を調節する海洋生態系が、重大なティッピング・ポイント(臨界点)に達していることを強調している。海洋は地球の約70パーセントを覆っているため [1]、その劣化は世界規模での食料安全保障と大気の安定性を脅かすことになる。

本報告書は、600人の国際的な科学者が関わった5年間にわたる共同研究の結果である [3]。現在の衰退を招いている主な要因として、「気候変動」「汚染」「乱獲」の3点を挙げている。これらの複合的な圧力は海洋生物を脅かし、海水の化学組成を変化させている。

なかでも最も衝撃的な予測の一つが極地に関するものである。国連は、現在の傾向が続けば、早ければ2030年代までに北極圏の氷が消失する可能性があると述べた [4]。氷の喪失は、太陽光を宇宙に反射させる能力(アルベド効果として知られるプロセス)を低下させ、地球温暖化を加速させることになる。

報告書の発表は、海洋環境保全の重要性への意識を高める「世界海洋日」 [2] に合わせて行われた。国連は、被害を食い止めるために国際社会が即時かつ協調的な戦略を実施しなければならないとしている。

要約の中で具体的な政策指令は詳述されていないが、国連は効果的な介入が可能な期間(ウィンドウ)が閉じつつあると述べた。この報告書は、公海条約や汚染管理に関する今後の外交交渉に向けた科学的な基準となる。

北極圏の氷は、早ければ2030年代までに消失する可能性がある。

この報告書は、一般的な環境懸念から、具体的かつ期限のある「緊急事態」への転換を意味している。北極の氷が消失する可能性を2030年代と特定することで、国連は政策立案者に対し、不可逆的な生態系崩壊を防ぐための炭素排出量および産業排水の劇的な削減という、具体的な期限を突きつけている。