プライベート・エクイティ(PE)ファンド、Thoma Bravoの共同創業者であるOrlando Bravo氏は、2026年6月10日のインタビューの中で、「SaaSpocalypse(SaaSの終末)」は終わったと述べた [1]。
Bravo氏のこの評価は、生成AIが既存のソフトウェアモデルを代替するのではないかという懸念にさらされてきたSaaS(Software-as-a-Service)セクターにおけるセンチメントの変化を示唆している。同氏の見通しは、AIがビジネスの存続を脅かす破壊的な脅威ではなく、現在は成長の触媒として捉えられていることを示している。
ドイツのベルリンで開催されたSuperReturnカンファレンスにおいて、Bravo氏は、AIがソフトウェア企業にとって「莫大な追い風」になると述べた [2]。また、人工知能がSaaSビジネスを消し去るという懸念は冷めてきたとしている [3]。Bravo氏によれば、新たなAI機能はSaaSビジネスを押しつぶすのではなく、むしろ底上げしているという [4]。
約2,000億ドルの資産を運用するThoma Bravo [5] は、ソフトウェア市場の動向に大きな利害関係を持つ。同セクターは直近で激しい変動に直面しており、2月の48時間における売り浴びせでは、SaaSの評価額から約2,850億ドルが消失した [6]。
成長に対する楽観的な見通しの一方で、Bravo氏は回復のペースは一様ではないと述べた [7]。また、AIエージェントのコストが増大しているとも指摘している [7]。これは、SaaSモデルに対する存亡の危機は和らいだものの、AI実装に伴う財務的負担が多くの企業にとって依然として課題であることを示している。
Bravo氏のコメントは、業界が急激なバリュエーションの変動を経て安定化を図ろうとする中で出された。代替への恐怖から、拡大のためのツールとしてのAI採用へと移行したことは、ソフトウェアへのPEおよびベンチャーキャピタル投資にとって極めて重要な転換点となる [2, 4]。
“AIはソフトウェア企業にとって「莫大な追い風」となる。”
「SaaSpocalypse」からAI主導のブームへとナラティブが移行したことは、市場が生成AIによる初期のショックを乗り越えつつあることを示唆している。しかし、AIエージェントのコスト増大や不均一な回復への言及は、同セクターが効率性とコスト管理が成長と同等に重要となる「運用の統合フェーズ」に入ったことを意味している。




