シアトルにあるアレン脳科学研究所(Allen Institute for Brain Science)は、神経変性脳疾患を治療するための大規模な遺伝子治療プログラムを開始した [1, 2]。

この移行は同組織にとって根本的な転換を意味しており、脳構造の「観察」から、機能不全に陥った神経系の「能動的な修復」へと移行する。アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、そしてALS(筋萎縮性側索硬化症)などの疾患を標的とし、数十年にわたる基礎研究を臨床介入へと変換することを目指している [1, 2]。

同研究所は20年間にわたり、基礎的な脳マッピング研究に注力してきた [1]。この長期にわたるデータ収集が新プログラムの基盤となっており、脳を保護または修復できる治療法を開発するために必要な知識を現在は十分に保有していると、同研究所は考えている [1, 2]。

この取り組みへの資金投入は相当な規模である。ただし、正確な金額に関する報告は分かれている。ある報告では「Brain Health Accelerator」を2億ドルの取り組みとしており [3]、別の報告では4億ドルの取り組みとして記載している [3]

米国シアトルに拠点を置くこの有力機関は、遺伝子ツールを用いて脳の衰退という根本的な原因に対処する意向だ。本プログラムでは、これまで効果的な治療法が欠如していた神経変性疾患の進行を停止させるための治療的介入の開発に焦点を当てる [1, 2]。

同研究所は、脳を修復または保護する治療的介入を開発するための十分な知識を現在保有していると考えている。

アレン研究所によるこの転換は、ヒトの脳をマッピングする「ビッグデータ」時代から「トランスレーショナル(橋渡し)」時代へと進化している神経科学の広範なトレンドを象徴している。20年分にわたる構造データを遺伝子治療に応用することで、同研究所は基礎科学と臨床応用の間の溝を埋めようとしており、これまで不治とされていた神経変性疾患の治療までの期間を短縮させる可能性がある。